アサッテも「なあなあ」でいこう
「また来ました」。この日は、あの女子高生がカッパ姿で帰宅の途中にご来店。
心の中で「ナンバーチョコの子」と呼んでいる彼女は、高校1年生だ。5月には模試があるらしい。「入ったばかりなのにぃ」と、校章がついた襟を引っ張ってニコニコと口をとがらせる。きっと希望通りの学校に合格したんだね、おばちゃんもうれしいよ。
ナンバーチョコは、数字の形をしたパッケージに色とりどりの丸いチョコが入っている。数字は、0~9の全10種類。初めて来店した時、彼女は入っているチョコの個数を丹念に数えていた。数字は違っても入っているのは、どれも5個なんだけどなあ。その姿がとってもかわいかったので、私の中で彼女はナンバーチョコの子になった。
駄菓子をもぐもぐしながら、他愛のない話をする。彼女は漫研に入って、4コマ漫画を描いているのだそう。「そういえば、あの人、死んじゃったんですねえ」。へえ、コボちゃんの作者が亡くなったんだ。自宅のトイレの棚に並んでいる単行本の表紙が頭に浮かんだ。
「ねえねえ、知ってる?漫画家の植田まさしがさあ…」。夕食の時、知ったかぶりをして家族に吹いた。それって違うんじゃね、と夫。あれっ、ちょっと待って。
そうか!お亡くなりになったのは、東海林さだおさんだあ。毎日新聞の漫画「アサッテ君」だった。危うくあちこちで言いふらして恥をかくところだったよ。しかもさあ、と亭主が続ける。「トイレにあるのは『あたしンち』だから、けらえいこだから」。
まあまあ、「なあなあ」でいこうよ。合掌。

